グレート・スモーキー山脈国立公園

 グレート・スモーキー山脈国立公園は、全米一の来園者数を誇る国立公園です。テネシー州とノースカロライナ州に跨がるその面積は2,110 km²に及びます。

 一方、日本の誇る中部山岳国立公園の面積は1743k㎡。「なーんだ、アメリカっていったって同規模じゃん」と思われるでしょうが、アメリカと日本では国立公園そのものに決定的な違いがあるのです。日本の国立公園は一部に国有地はあるものの、民有地も多く、公園内に住民もいれば、商業地も普通にあります。要するに国立公園と言っても、土地利用に関して規制がかかっているだけなのです。ところが、アメリカでは原則として国立公園は全て連邦政府の所有する直轄地となっています。したがって公園内には基本的に住民はいませんし、商業施設もほとんどありません。中部山岳国立公園よりでかい面積が、そういう状態で保護されているのです。ね、でかくないですか。

 広いとは言え、侵食が進んだ丘陵性の古いこの山脈の標高は低く、最高標高地点であるクリングマンズ・ドーム(Clingmans Dome)でも2,025 mと、北アルプスの山々には全く及びません。山は山頂まで森林に覆われており、豊かな植生が見られます。

アパラチアン山脈とブルーリッジ・パーク・ウェイ

グレートスモーキー山脈は、北米大陸の大山脈「アパラチアン山脈」の一部です。

 アパラチアン山脈は長さ約2,600km、最大部分の幅が約480kmという、日本の本州にも匹敵する面積の巨大な山脈です。2億年以上に渡る侵食を受けたアパラチアの山々の標高は概ね1000m程度で、最高峰のミッチェル山(ノースカロライナ州)でさえ2,037mです。

 アパラチアのビーナスラインとも言える山岳観光道路が、南のグレート・スモーキー山脈国立公園と北のシェナンドー国立公園を結ぶ「ブルー・リッジ・パークウェイ」です。その全長は約755kmで、ビーナスラインの約10倍。一度は全線走破してみたかったのですが、結局、南部の1/3くらいしか走ることは出来ませんでした。

  アパラチアン山脈には徒歩の旅人のための道も用意されています。それが有名なアパラチアン・トレイル。ジョージア州からメイン州まで14州にまたがる全長3,500kmのロングトレイルです。

 この写真展ではグレートスモーキー山脈から少し離れ、「ブルー・リッジ・パークウェイ」沿線で撮影した写真も紹介しました。