アメリカの国立公園

 国立公園を訪れたら、まずはビジターセンターに立ち寄るのが一般的です。上の写真はテネシー側シュガーランドのビジターセンターの様子。建物は外も内も綺麗で、資料がセンス良く展示されています。園内を紹介するビデオ上映等もありかなり充実した施設です。ノースカロライナ側のオコナルフテーのビジターセンターは以前は丸太造りの渋い建物でしたが、2011年に新しい施設が建てられました。いずれも入場は無料です。

日本と最も異なるのが、多くのパークレンジャーの姿を見かけることです。パークレンジャーが所属する国立公園局には、2万人以上の職員が勤務しており、のべ 34 万 人にのぼるボランティアが公園管理に参加しているそうです(2016 年)。国立公園システムの総面積は 34 万 k㎡なので、職員1名あたりの管理面積は 15.6k㎡、職員1名 あたりの利用者数は 15,000 人です。一方、総面積 2.19 万 k㎡の日本の国立公園において、現地で管理に当たる「自然保護官」と呼ばれる職員数は 187 名(2017 年4月現 在)で、職員1名あたりの管理面積は 117km2、職員1名あたりの利用者数は 188 万人と、アメリカに比べて圧倒的に少ないです。日本の場合は公園が国の直轄地ではないため、地方公共団体、民間事業者、地域住民、さらにはNPOなどの多くの団体が協力して管理しているという事情もあり、一概に少なすぎるとは言えないのですが、国立公園という名前にしては少々寂しい人数のような気もします。

サウスカロライナ州に住んでいた私にとって、公園への入り口は「オコナルフテー」でした。到着するのはたいてい朝8時頃。ときおりエルクが草を食む姿も見られる広い草原には、この日は低い霧が立ちこめていました。

 草原の端にはビジターセンターと、マウンテン・ファーム博物館があります。この野外博物館では、鍛冶屋の店や薫製場などが昔の丸太造りの建物で復元されており、当時の扮装をしたスタッフが、在りし日の生活の様子を再現して見せてくれます。